自然の流れに乗った1日の過ごし方アーユルヴェーダ“ディナチャリア”とは?
アーユルヴェーダでは、健康で幸せに長生きするための生活習慣がまとめられており、それを「ディナチャリア」といいます。
今回は、このディナチャリアの流れをまとめました。
“もっと規則正しく生活したいなぁ”と考えられている方や、“健康には気をつけているつもりなのに、なぜか不定愁訴が改善されない”という方は、ぜひご参考にご覧ください!
アーユルヴェーダライフ 1日の過ごし方をまとめた“ディナチャリア”とは?
ディナチャリアとは、アーユルヴェーダで勧められている1日の理想の過ごし方のことです。
1日のエネルギーバランスの変化や自然の流れに乗って過ごすためのルーティンが、朝・昼・夜に分けて細かく記されています。
●ディナチャリアが大事な理由
アーユルヴェーダでは、幸せに健康にそして長く生きていくためには、規則正しい生活がとても重要であると考えます。
それは同時に、間違った生活習慣が病気を引き起こしてしまう可能性があるともいえます。
具体的には、1日をヴァータ・ピッタ・カパの時間帯に分けて考え、それぞれのドーシャの特性に合わせた流れを作ることが大切となります。
<1日のドーシャバランス>
●6時~10時:カパ時間
●10時~14時:ピッタ時間
●14時~18時:ヴァータ時間
●18時~22時:カパ時間
●22時~2時:ピッタ時間
●2時~6時:カパ時間
●ドーシャバランスに合わせてベストなディナチャリアを
ディナチャリアは、基本の流れをベースにしつつ、自身の生まれつきあるいはその時のドーシャバランスに合わせて微調整を加えることが必要となります。
例えばヴァータは、“動き過ぎる”“冷えやすい”といった性質があるので、休息や温めるといった習慣がより重要となります。
ピッタは、“熱くなりやすい”“ストイックになりやすい”と言った性質があるので、鎮静することやアグニ(消化)に気をつけることがより重要となります。
最後のカパは“停滞しやすい”“固定化しやすい”と言った性質があるので、運動することや食べすぎないように注意することがより必要となります。
ここからは、ディナチャリアの基本的な流れをご紹介していきます。
アーユルヴェーダ生活習慣「ディナチャリア」:朝の過ごし方
朝6時~10時まではカパの時間帯です。
また朝は1日の始まりであり、その日を快適に過ごせるかどうかを左右する重要な時間帯であると、アーユルヴェーダでは考えられています。
そのため、1日の中でももっともルーティンの数が多くなっています。
①朝の目覚め
・アーユルヴェーダでは、日の出96分前~日の出前までに起きるのが良いとされています。
・目が覚めたらすぐに身体を起こさず、伸びをしたりストレッチをしたりして、少しづつ身体を目覚めさせていきます。
②脈診をする
・自身で脈診をして、その日のドーシャバランス(ヴァータ・ピッタ・カパ)を観察してみます。
自分のドーシャバランスを知ることで、その日どのような調整が必要かが分かります、
※ドーシャの意味や役割について知りたい方は、こちらをご覧ください。
「アーユルヴェーダに登場するドーシャとは?意味や活用法を徹底解説!」
※脈診の方法が知りたい方は、こちらをご覧ください。
「アーユルヴェーダ診断とは?様々なドーシャ診断法とタイプ別ケア方法」
③カーテン・窓を開ける
・外の空気を部屋に入れて、空間をリフレッシュさせます。
④舌苔を取る
・アーユルヴェーダでは、睡眠中に皮膚や口腔内に体内の毒素(アーマ)が出てくると考えます。
・専用のスカイスクレーパーで、舌の中心・右・左を1回づつ力を入れずにスライドさせて、舌に溜まった老廃物を取り除きます。
※舌苔の取り方については、下記でも詳しく解説しています。
「一番簡単なアーユルヴェーダデトックス法☆舌苔をお掃除しましょう!」
(⑤歯磨き)
・ディナチャリアとして記されている習慣ではないですが、歯磨きはこのタイミングがベストだと思います。
⑥オイルうがい(オイルプリング)
・アーユルヴェーダでは、オイルうがいを習慣にすることで、歯槽膿漏予防、声を良くする、顔のむくみがとれる、歯茎が強くなる、顔が明るくなる、味覚が鋭くなるなどの効能が期待できると言われています。
・オイル(代表的なのはセサミオイル)を大さじ1杯ほど口に含み、飲み込まないように喉の近くまで通し5分ほど口の中でクチュクチュした後、紙に含ませて吐き出し水で数回ゆすぎます。
※オイルプディングの詳しい方法については、こちらでご紹介しています。
「アーユルヴェーダによるお口の健康法“オイルプリング”のススメ」
⑦白湯を飲む
・コップ1杯の白湯を飲みます。
・白湯を飲むことで、夜の間に溜まった老廃物を流し、排泄を促すことができるとアーユルヴェーダでは考えられています。
※白湯の作り方については、こちらでご紹介しています。
「普段の生活の中で簡単にできる!アーユルヴェーダ式6つのプチデトックス法」
⑧排尿・排便
・尿意・便意を感じていなくても、トイレに座るようにします。
・ディナチャリアを習慣にすることで、自然とリズムが出来てきます。
⑨鼻うがい(ジャラネティ)
・食塩水で鼻孔を洗浄することで鼻の詰まりが取り除かれるとともに、頭がクリアになるとアーユルヴェーダでは考えられています。
※鼻うがいの方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
「アーユルヴェーダ推奨の鼻うがい(ジャラネティ)にハマりました!」
・鼻うがいは、カパが増えている時や花粉症の時期は特にオススメです。一方、ヴァータの過剰が見られる時には、控えるのがよいでしょう。
⑩点鼻
・オイル(代表的なのはセサミオイル)を鼻孔に落として鼻孔内に潤いを与えるトリートメントです。
アーユルヴェーダでは、オイル点鼻をすることで、花粉症予防、頭痛軽減、視力改善が期待できると言われています。
・仰向けになって、鼻孔を上に向けて片鼻に2滴づつオイルを落とします。
・人差し指と親指で鼻をつまんで鼻孔を狭くして、スースーと吸いながら鼻の奥にオイルを吸い込みます。
・オイルが口の方に流れてきたら、それを飲み込まず吐き出すようにしましょう。
・最後にぬるま湯で2,3回うがいをします。
⑪アビヤンガ
・アビヤンガとは、全身のオイルマッサージです。
オイルマッサージは、一般的に夜に行う方が多いと思いますが、アーユルヴェーダでは、寝ている間にアーマが皮膚に出てきていると考えられており、それらをデトックスする意味でも朝に実施が勧められています。
朝アビヤンガを行うことで、皮膚を若返らせたり、筋肉を整えたり、消化力を高めたりする効果が期待できると言われています。
⑫入浴・シャワー
・身体に浸透しなかったオイルを、シャワーや入浴で、アヴィヤンガで塗ったオイル洗い流します。
・アーユルヴェーダでは、夜間の沐浴は頭を冷やしてカパを増やすとされており、洗髪も朝が推奨されています。
⑬朝ヨガ
・朝のヨガは、太陽礼拝が勧められています。
・ストレッチを加えるのもおすすめです。
⑭呼吸法
・呼吸法は色々な方法がありますが、最も一般的なのは浄化呼吸法(ナーディー・ショーダナ呼吸法)です。
・右手の薬指を左鼻に当て、親指を右鼻に当て、人差し指と中指は眉間に当てます。
・右の鼻孔を親指で塞いだら、左の鼻から息を吸い込みます。
・そのまま数秒しばらくを息を止めた後、左の鼻腔を薬指で塞いで、右の鼻から息をはきます。
これをワンセットとし、4~5セット行います。
・アーユルヴェーダでは、左は月に関係し安定と落ち着きをバランスするとされ、右は太陽に関係し、代謝や活動をバランスをすると考えられています。
⑮瞑想
・朝の瞑想は、一日を穏やかで満たされた気持ちを持って始めるためのものです。
・軽く目を閉じて、楽な姿勢で座って、呼吸に意識を向けます。
・呼吸が落ち着いてきたら、吸う時「オーム」吐く時に「シャンティ」というマントラを唱えます。
⑯朝の散歩
・朝15分程度散歩します。
・朝は、前日の夕食によって高まったカパがまだ増えている状態なのでだるさが出る時間帯ですが、散歩をすることで、それらが調整されます。
⑰朝食を摂る
・朝食は、1日のうちでもっとも軽い食事にします。
・アグニが低下している時は、朝食前に「ショウガ+レモン+塩」をかじりましょう。
・食欲が無い時には、温かい牛乳または豆乳のみにしてもよいですし抜いてもよいです。
・特にカパが増えている時は、白湯のみでも良いでしょう。
アーユルヴェーダ生活習慣「ディナチャリア」:昼の過ごし方
昼はピッタとヴァータの時間帯です。
朝10時~14時までがピッタ、14時~18時までがヴァータの時間帯となり、身体も心も1日の中で最も活動的になります
①昼食を摂る
・12時~1時の間に昼食を摂ります。
・昼はアグニが高まるタイミングなので、1日の中でもっともしっかりとした食事を摂りましょう。
・昼食後は直ぐに行動せず、10分ぐらい静かに座って消化の動向を見守りましょう。
②日中の休憩
・昼寝をするとカパが増えてしまうため、アーユルヴェーダでは勧められていません。
・ただし、猛暑の時、お年寄り、幼児、身体が弱っている人、長期旅行後の人、怪我をしている人、病気の人、病気明けの人には良いとされています。
・昼寝をする場合は、座ったまままたは半座位で15分ほどにしましょう。
③間食について
・間食を取ると昼食や夕食の消化を妨げてしまうため、アーユルヴェーダでは勧められていません。
・特にカパが増えている時には控えましょう。
・どうしても欲する場合は、干しいもやハーブティにはちみつを加えたもの、塩昆布など、温かいものや自然の甘味のあるもの塩味のものを少量摂りましょう。
④日中の心と身体の調整
・仕事中に、身体の疲れを感じた時には、ヨガを行います。
・足や股関節を開くポーズや、ねじりのポーズなどを行うことで、ヴァータやピッタの乱れを調整することができます。
・仕事中に心の疲れを感じた時には、呼吸法や瞑想を行いましょう。イライラや焦りなどをコントロールすることができます。
アーユルヴェーダ生活習慣「ディナチャリア」:夜の過ごし方
夜18時~22時はカパの時間であり、日中の活動で増えたエネルギーを鎮めて心身を癒やす時間帯です。
①軽い休息
・仕事から家に帰ったら、まず数分間横になって疲労を癒やします。
・日中に増えたラジャス(動的なエネルギー)を鎮静させます。
②夜の呼吸法
・1日の活動で溜まった疲れや熱、ストレスなどを手放すように、三段式呼吸を5回繰り返して心身を緩めます。
・三段呼吸とは、お腹・胸・肩の順の3段階に分けて呼吸を身体に入れて、肩・胸・お腹の順に呼吸を吐き出して行く呼吸法です。
③入浴
・入浴で身体を清めます。
・アーユルヴェーダでは、夜の洗髪はカパを増やすため控えるように勧められていますが、習慣の方は、頭や髪を濡れたままにせずしっかり乾かすことを心がけましょう。
・入浴は食後でもよいですが、その場合は食後2時間は控えましょう
④夜のヨガ
・夜のヨガは、リラックスやストレッチが深まるポーズを取り入れましょう。
・激しいポーズは、ヴァータを乱すため控えましょう。
⑤夕食
・夕食は、日没後3時間以内(18時~21時)に摂ります。
・夕食では、油分の多いものや乳製品、チーズなどの発酵食品、赤身肉は控えましょう。
・消化力(アグニ)が落ちている場合は、他の食事と同様食前に「ショウガ+レモン+塩」をかじりましょう。
⑥夕食後の散歩
・夕食後1時間ほど経った後、15分ほど散歩をすると、アグニが活性化して就寝までに消化を完了させることができます。
・20時以降は固形物を摂らないようにしましょう。
⑦寝る前の呼吸法
・1日の終わりを締めくくる腹式呼吸を行います。
・おヘソの下の丹田に意識を向けて行う呼吸法です。
・深く息を吸ってお腹を大きく膨らませ、ゆっくり吐いて息を吐ききってお腹をぺちゃんこにします。
この動作を4~5回程度行って心身を整えましょう。
⑧寝る前の瞑想
・無判断瞑想を行います。
・楽な姿勢で静かに目を閉じて自分を内観します。
どのような思いや感情が浮かんだとしても、無理に消そうとせず、またそれに良い・悪いという判断をせず、静かに見つめます。
⑨就寝
・9時半~10時半の間にベッドに入ります。
・ベッドでの読書・間食・スマホ/TVは厳禁です。
・ただし、アーユルヴェーダでは、カパ体質、カパ性疾患のある人、肥満の人、油分や脂肪分に富む食事をした人は、夜更かしをしてもよいとされています。
まとめ
今回は、アーユルヴェーダの教えに基づいた、1日の過ごし方ディナチャリアについて解説しました。
●ディナチャリアは、健康で幸せに長生きするための生活習慣のことです。
●自然の流れや1日のドーシャバランスに沿ったルーティンが定められています。
●朝は、ヴァータからカパに入れ替わるタイミングで、寝ている間に溜まったアーマの除去と1日を快適に過ごすための準備が中心となります。
●昼は、ピッタとヴァータが増えるタイミングで、活動的に過ごすとともに増えすぎたエネルギーを調整することが大切となります。
●夜は、カパのタイミングで、日中の疲れを鎮静し癒やす方法が定められています。