アーユルヴェーダ食事法:注意したい食材の組み合わせ一覧をご紹介
今回は、アーユルヴェーダの古い文献の中で、注意すべきと紹介されている食材の組み合わせをご紹介します。
前半では、アーユルヴェーダが考える食べ物の3つの働きを解説した上で、ドーシャ別の食事法も簡単にまとめました。
(前半長いですw注意したい食べ合わせ一覧からチェックしても分かるようになっています☆)
忙しい現代において、すべての組み合わせを避けることは難しいと思いますが、食事の後なんだか身体の調子が悪くなる、お腹が痛くなるといった不調が起きてるという方は、ぜひご参考にご覧ください。
後半では、良くない食べあわせを調整する方法もご紹介していますので、合わせてご確認ください!
アーユルヴェーダが考える、食べ物が体にもたらす3つの働き
アーユルヴェーダでは、食べ物が口から入って消化・吸収されるまでに、体の中で3つの働きをすると考えます。
●口に入ってすぐ舌で感じる味覚
一つはもっとも分かりやすい味覚です。
食べ物が口に入ると、甘味・酸味・塩味・辛味・苦味・渋味を舌で感じます。
これら6味は、食べた人のアーユルヴェーダ5元素に影響を与えます。
例えば甘味は、風と火の元素を減らし、水と土の元素を増やします。
辛味は、水と土を減らし、風と火を増やします。
●消化時に与えるエネルギー
次は、胃・腸で食物が消化される際に与えるエネルギーです。
これは、食べ物を消化しやすくする加熱作用か、消化を鈍らせる冷却作用かに分かれます。
例えば、酸味・塩味・辛味は加熱作用があり、甘味・苦味・渋味は冷却作用があります。
消化を鈍らせる冷却作用は、身体に良くないように感じられるかもしれませんが、そうとは限りません。
消化の火が強すぎると、食物を焦がし食べ物の栄養素も壊してしまいます。
そのような時は、ちょうどよい消化力を維持するための冷却作用が必要となるのです。
消化の火、アグニについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
「美容食材の吸収もUP!アーユルヴェーダアグニ(消化力)を調整する方法」
●消化後、身体に与える作用
最後は、食べ物が消化されたあと、長期的に体に与える作用です。
これは、組織を増やし体重を増やす同化作用か、組織を分解し減少させる異化作用に分かれます。
甘味(塩味を含む)は同化作用があり、酸味と辛味(苦味・渋味を含む)は異化作用があります。
食べ物からアーマ(毒)を発生させず、オージャス(栄養)を得る方法
アーユルヴェーダでは、食べ物は、食べるもの・食べ方によって薬にも毒にもなると考えます。
食べ物を毒にせず栄養素にしていくためには、自分の体質やそのときの体調を知り、それに応じた食事をとることが大切となります。
自分の体質や体調はドーシャではかることができます。
ドーシャは、自分が生まれつき、あるいは今増えやすいエネルギーの傾向です。
ドーシャを調整するというのは、増えすぎたエネルギーを減らすということを指します。
※自身のドーシャを知りたい方は、こちらのドーシャ診断をご活用ください。
●ヴァータが増えているときの食事法
ヴァータは、身体の中に風を起こし、栄養素や水分、酸素などを運搬したり、老廃物を排出したり、内蔵を働かせたりする“動性”の性質を持ちます。
このようなヴァータの働きが過剰にならないように調整するためには、甘味・酸味・塩味を意識して食事に取り入れると同時に、辛味・苦味・渋味は控えることが大切となります。
おすすめの食材は、大豆、ミルク、温野菜、肉類、スープなどです。
特に、重性のもの、温かいもの、水分のあるものなどがよいでしょう。
ヴァータ体質の人は、未消化物(アーマ)の発生よりも、比較的、オージャスの不足に気をつけたほうがよいでしょう。
食事量を減らしすぎないように気をつけること、規則正しく食事を摂ることなどが大切となります。
※ヴァータの食事法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
「ヴァータが増えている時のアーユルヴェーダ食事法」
●ピッタが増えているときの食事法
ピッタは、身体の中に火を起こし、アグニ(消化の火)を高めて食べ物を消化したり、代謝したりする“熱性”の性質を持ちます。
このようなピッタの働きが過剰にならないよう調整するためには、甘味・苦味・渋味を意識して食事に取り入れると同時に、辛味・塩味・酸味を控えることが大切となります。
特に辛味は、ピッタの熱を増やす性質がありますので、注意しましょう。
おすすめの食材は、生野菜、魚、ココナッツ、果物、あんこなどです。
特に、冷たいもの、乾いたもの、甘みのあるものなどがよいでしょう。
ピッタ体質の人は、消化力が強くなりすぎてオージャスができる前に焦がしてしまう可能性がありますので、冷却作用のあるものを摂取して消化の火を調整することが必要です。
また、消化器官特に胃と腸に負担がかかりやすいので注意しましょう。
※ピッタの食事法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
「ピッタが増えている時のアーユルヴェーダ食事法」
●カパが増えているときの食事法
カパは、身体の中に水と土を増やし、組織を増やしたり安定させたりする“重性”の性質を持ちます。
このようなカパの働きが過剰にならないように調整するためには、辛味・苦味・渋味を意識して食事に取り入れると同時に、甘味・塩味・酸味を控えることが大切となります。
おすすめの食材は、葉野菜、豆類、雑穀米、山菜などです。
特に、水分のすくないもの、油分の少ないもの、軽いものがよいでしょう。
カパ体質の人は、食べ過ぎることで消化が追いつかず、アーマ(毒素)が発生しやすいため、食べたら身体を動かすということを意識することが必要です。
消化が追いついていないと感じたときは、朝食を抜くなどの対応を行うのもよいでしょう。
※カパの食事法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
「カパが増えている時のアーユルヴェーダ食事法」
【アーユルヴェーダ食事法】気をつけたい食べ物の組み合わせ一覧
アーユルヴェーダの古い文献では、一緒に食べないほうが良いとされている食材の組み合わせが色々紹介されています。
考え方のベースとなるのは、性質の違いです。
例えば、熱性と冷性を一緒にすること、重性と軽性を一緒にすることは良くないと考えます。
ここからは、具体的な食べ合わせについてご紹介していきます。
●組み合わせのよくない食べ方、大まかなルール
・エネルギー性質が異なるもの(熱いものと冷たいもの)を一緒に食べてはいけない
・生のものと調理されたものを一緒に食べてはいけない
・果物とほかのものを一緒に食べてはいけない
・ミルクとヨーグルトを一緒に食べてはいけない
・ミルクまたはヨーグルトと、酸っぱい果物や柑橘系、魚や肉、ナス科の野菜(じゃがいも・トマト・なす)を一緒に食べてはいけない
・種類の異なるタンパク質、たとえば卵とチーズを一緒に食べてはいけない
・はちみつを高熱で温めてはいけない(飲み物の甘みづけに入れる程度ならOK)
●食べ合わせについて気をつけるべき主な食材
・はちみつ
・ナス科の野菜(トマト・きゅうり・なす・ピーマン・ししとう・じゃがいも)
・牛乳(乳製品)
・柑橘系・ベリー系の果物
・肉類・魚類
上記のような食材を摂るときには、組み合わせに気をつけましょう。
●良くないとされている具体的な食材の食べ合わせ一覧
<牛乳>
・バナナ、メロン、さくらんぼ、酸っぱいフルーツ、
・ヨーグルト
・魚、肉
<メロン>
・穀物
・でんぷん
・揚げ物
・乳製品
<でんぷん(イモ類・コーン・小麦など)>
・卵
・乳製品
・バナナ、柿、フルーツ全般
・なつめ
<はちみつ>
・等量のギー
<大根>
・牛乳
・バナナ
・干ぶどう
<ナス科の野菜>
・ヨーグルト、牛乳
・メロン
・きゅうり
<ヨーグルト>
・牛乳
・酸っぱいフルーツ、メロン
<熱い飲み物>
・肉、魚
・マンゴー
・チーズ
・でんぷん
<卵>
・乳製品
・肉、魚
・メロン、バナナ
<マンゴー>
・ヨーグルト
・チーズ
・きゅうり
<コーン>
・なつめ
・干しぶどう
・バナナ
<レモン>
・乳製品
・きゅうり
・トマト
<フルーツ>
・他のあらゆる食物
●アーユルヴェーダではよくないと言われてるけど、そこまで気にしなくてもよいもの
・納豆、その他の発酵食品
ここでご紹介したものは、食べ合わせに関するベースとなるものです。
実際には、体質によって大丈夫な組み合わせもあれば、上記になくても身体に合っていないものもあります。
自身の体質を知るためには、食事の際に起こる体の変化を注視することが大切です。
食事前、食事中、食事後、食事終了数時間後、それぞれの身体の状態を観察して、自分にとって注意すべき食べ合わせを判断するようにしましょう。
食材のエネルギーを余すことなく享受する食事法
アーユルヴェーダでは、食材にはプラーナが宿っていると考えられており、食べることは、食材のプラーナ(生命力)を頂くことだと考えます。
このプラーナを享受するためには、いくつか気をつけるべきことがあります。
●プラーナを失わない食事法
・できるかぎり調理したてのものを食べることです。時間が経てば立つほどプラーナは失われていきます。
・調理用具は木製、食器は木製や陶器といった天然素材で製造されたものがおすすめです。食材の性質を変えません。
・食事中におしゃべりしすぎないこと、たまには黙食してみましょう。
食事に集中することで、食材のエネルギーを感じられると同時に、身体の変化にも敏感に感じられるようになります。
●食べ合わせの不一致を調整する方法
アーユルヴェーダの古い文献に残されている注意すべき食べ合わせが色々ありますが、現代において、それらをすべて毎日実践することが難しい人が多いと思います。
食べ合わせの不一致は、調理の仕方で多少調整することが可能です。
最も簡単なのは、一緒に煮込むことです。
食べ合わせのよくない食材でも、一緒に煮込んでスープにすることで不一致が調整されると言われています。
まとめ
●アーユルヴェーダでは、食べ物には3つの働きがあると考えます。
●まず食べてすぐに感じる味覚、これは自身の5元素に影響を与えます、次に消化時に起こる冷却作用・加熱作用、これは消化を高めるまたは弱めることに繋がります。
最後は、消化後に起こる同化作用・異化作用、これは組織を増やすか分解・減少させるかに繋がります。
●食物を消化・代謝させ、毒素(アーマ)ではなくオージャスを作るためには、自身のドーシャをバランスさせる食事を摂ることが大切です。
●ヴァータが増えているときは、甘味・酸味・塩味を積極的に摂ること、ピッタが増えているときは
甘味・渋味・苦味を積極的に摂ること、カパがふえているときは、辛味・苦味・渋味を積極的に摂ることが大切です。
●良くない食べ合わせのベースとなるのは、異なる性質のものを組み合わせること、ただ、これらのルールも体質・体調によって異なるので、食事時の身体の変化をよく観察することが大切です。
●食べ合わせが良くないとされている食材を組み合わせる場合には、煮込みスープにすることで、調整することができるとアーユルヴェーダでは考えられています。
●アーユルヴェーダでは、食事=食材のプラーナをいただくという考え方があります。
より多くのプラーナを得るためには、出来立てを食べることや、調理器具・食器の素材にこだわることなどが大切だと考えられています。