アーユルヴェーダを基にした冬の快適な過ごし方~離れやすい身体・心・精神をつなぐには?~
今回は、アーユルヴェーダを基にした冬の過ごし方をご紹介します。
深々と冷える冬、空気が澄み渡って世界が綺麗に見える季節です。
人間においては、身体が軽くなって、行動力が高まり、新しいことにも前向きに取り組めますが、一方で、心・身体・精神がバラバラになりやすい時期とも言えます。
そこで取り入れたいのがアーユルヴェーダの知恵。生活の中に少し取り入れるだけでアンバランスが調整されて、楽しく過ごすことができるようになります。
今回は、食事、スキンケア、睡眠、運動などにおいて、冬のエネルギーバランスを整える方法を色々とまとめていますので、ぜひご参考にご覧ください!
アーユルヴェーダが考える冬の世界とは?増えやすいエネルギーや性質を知っておこう
アーユルヴェーダにおいて冬は、乾きや寒さが深まると同時に、動のエネルギーが活発になる季節といえます。
●冬に増えやすいエネルギー(元素)・ドーシャ
冬は、アーユルヴェーダドーシャでいう、“ヴァータ(※)”というエネルギーが増えやすい季節です。
ヴァータは、万物を司る5つの元素(土・水・火・風・空)の中の、“風”と“空”のエネルギーを持ちます。
一番増えやすいのが風、次が空です。
※ヴァータについては、こちらのブログでも詳しくご紹介しています。
「アーユルヴェーダにおけるドーシャの一つ“ヴァータ”について徹底解説!」
●冬に見られる性質
自然界においては、下記のような傾向が見られます。
乾燥性・冷性・軽性・動性・粗性・微細性・分散性・不規則性・透明性
これらの影響を受けて、人の身体においては、お肌が乾燥したり、身体が冷えたり、神経が過敏になりやすくなったりします。
一方で、痩せやすかったり、お肌の透明感が上がったりする時期でもあります。
心においては、創造性が高まったり新しいことにチャレンジしたい気持ちが高まったりする一方で、“動”の傾向が高まりすぎて、情緒不安定になったり、孤独感を感じてしまったりすることがあります。
冬を快適に過ごすために知っておきたい3つのアーユルヴェーダポイント
ここからは、増えすぎた冬のヴァータエネルギーに翻弄されないようにする方法や、反対にその良さを最大限に活かすための心構えなどをご紹介します。
●病気に注意しよう
“病気の素”を意味するドーシャ(※)ですが、中でもヴァータがすべての病気のきっかけを作ると、アーユルヴェーダでは言われています。
※ドーシャについては、こちらのブログで詳しく解説しています。
「アーユルヴェーダに登場するドーシャとは?意味や活用法を徹底解説!」
病気には、ピッタ性の病気(例えば胃潰瘍や目の病気など)やカパ性の病気(免疫疾患やアレルギーなど)があるのですが、それらすべての引き金となっているのはヴァータの増幅です。
言い換えると、ヴァータの初期の乱れをキャッチしてそれを調整することができたら、病気にかかりにくくなるといえます。
特にこの時期は、上記で紹介したような様々な傾向が、身体や心において高まっていないかどうかを観察することが大切、変化に気づいたら、毎日の生活の中で少しづつ改善するようにしましょう。
●繋がりを大事にしよう
“バラバラ”
これは、ヴァータの性質を最も分かりやすく表現しているといえます。
ヴァータは、あらゆるものをバラバラにしてしまいます。
例えば身体においては、細胞をバラバラに分解して、痩せさせてしまいます。
水分・油分が外に出ていきやすくなったりもします。
また、心においても、意識が自分の中心から離れてあっちこっちバラバラになり、優柔不断になったり不安感を感じやすくなったりします。
そのようなときは、繋がりに意識を向けてみましょう。
身体・心・真我は繋がっているということを感じてみましょう。
また、世界をつなぐ大地、土に根ざした根野菜をいただくことや、家族、パートナー、友達といった愛する人達と楽しい時間を共有するといったことも、大切にしたい時期です。
●新しいアイデアや発想が浮かびやすい
ヴァータのエネルギーはマイナスなことばかりではありません。
動性、軽性という性質がプラスに働くと、自分の中の創造性や行動力を高めることができます。
新しいことを始めることも抵抗なくできたり、固定概念から開放されて、これまでにない考え、アイデア、企画などが浮かびやすい時期といえます。
この時期は、小さなメモを持ち歩いて、思い浮かんだことを書き留めておく(携帯のメモでもOKだと思いますが、絵が書けないのが難点・・・)のもおすすめ、その後の仕事・趣味・人生を豊かにしてくれます。
冬のアーユルヴェーダライフスタイル術:食事のポイント
ヴァータを調整するために、積極的に摂り入れたい味覚は、甘味・塩味・酸味です。
食材においては、重性のもの、例えば、穀物や根菜類、乳製品、お肉などを摂り入れましょう。
また、水分の多いもの例えば、スープや鍋などがおすすめで、少し油分を含むものを意識して取り入れたり、場合によってはギーやオイルをかけていただくというのもよいでしょう。
反対に、乾いたものや生のもの、冷たいものなどは控えめにしましょう。
冬のアーユルヴェーダライフスタイル術:美容のポイント
ヴァータは、エイジングが進みやすい季節です。
とくに、お肌においては、肌細胞がバラバラになって弾力を失ったり、乾燥によってシワができやすくなったりします。
水分・油分を外から補給する保湿ケアをしっかりすること、また痩せすぎないようにきちんと食事を摂る、必要であれば足りない栄養素をサプリメントで補うといったこともおすすめです。
また、アーユルヴェーダのオイルマッサージ“アビヤンガ(※)”も、この時期は定期的に行いたいセルフケアといえます。
※アビヤンガについては、こちらのブログで詳しくがご紹介しています。
「アーユルヴェーダの全身オイルマッサージ“アビヤンガ”とは?簡単な実践方法もご紹介!」
冬のアーユルヴェーダライフスタイル術:運動のポイント
元々ヴァータ・ピッタ体質の人で、すでに運動量が多い場合は、さらに運動を増やすよりも、リラックスヨガなどで身体をストレッチする、癒やすといったことが必要となります。
ただ、筋肉は衰えやすいので、筋トレ、特に足腰を鍛える運動はとてもおすすめです。
一方、元々カパ体質の人は、寒さで行動が鈍りやすいので、意識的に運動することを心がけましょう。
全身を動かすフローヨガやランニングなどがおすすめです。
冬のアーユルヴェーダライフスタイル術:マインドケアのポイント
冬のヴァータに起こりやすい心の傾向としては、まず不安感・孤独感などが強くなる、情緒不安定になる、優柔不断になるといったことが挙げられます。
一方で“空”という元素も持つので、急に虚無感に襲われたり、無気力になったりもします。つまり一言でいうと心が忙しくなるのです
それらを調整するためには、瞑想がとてもおすすめです。
温かい部屋で一人座り(好きな精油を香らせるのも◎)、人差し指と親指を繋げるチンムドラーを組んで(これは宇宙と私をつなぐという意味があります)
目を閉じます。
吸う・吐くの呼吸に集中して、今この瞬間に意識を向けることで、心の作用をコントロールすることができます。
冬のアーユルヴェーダライフスタイル術:その他
ここからは、その他の冬の過ごし方をご紹介していきます。
●規則正しい生活をする
ヴァータが増えると、毎日の生活がバラバラになりやすくなります。
その時思いついたことをやってしまうので、生活が不規則になります。
それを防ぐためには、毎日のタイムスケジュールを決めて習慣を作り、規則正しく生活することを意識することが大切です。
●温める
ヴァータの冷性はなかなか手ごわいので、あらゆる温活を行うのがおすすめです。
具体的には、温める食材、例えば生姜やスパイスを積極的に摂り入れる、温め効果の高いバスソルトを入れてお風呂に入る、外出するときは、首・足首、手首を覆うようにするなどといった方法があります。
●睡眠習慣を見直す
ヴァータが増えると、睡眠が浅くなったり、不眠症になりやすかったりするので、夜の過ごし方には気をつけましょう。
お風呂に入るタイミング(寝る1時間前がベストと言われています)にこだわったり、22時以降は照明を落としてTV・スマホを控えたりして、少しづつ身体をお休みさせていくようにしましょう
まとめ
今回は、アーユルヴェーダを基にした冬の快適な過ごし方をご紹介しました。
●冬は、アーユルヴェーダにおいて、風と空の元素を持つヴァータというエネルギーが増えやすい季節です。
●自然界では、乾燥性・冷性・軽性・動性・粗性・微細性・分散性・不規則性・透明性といった傾向が見られ、それらが人間の身体・心にも影響を与えます。
●ヴァータを調整するポイントは、病気に注意すること、繋がりを大事にすること、アイデアなどをメモすることなどが挙げられます。
●冬の食事においては、甘味・塩味・酸味の味覚、そして重性のもの、水分・オイルを含むものを積極的に摂りましょう
●冬の美容においては、保湿をしっかり行うこと、運動においてはリラックスしたストレッチや筋トレを積極的に行いましょう。
●冬は、不安感が高まったり、虚無感に陥ったりと心が忙しくなりやすいので、瞑想で体・心・精神とのつながりを感じるようにしましょう。
●その他の冬のヴァータ調整法として、規則正しい生活をする、身体を温める、睡眠を大事にするといったことがあります。