アーユルヴェーダにおけるドーシャの一つ“ピッタ”について徹底解説!
ピッタは、アーユルヴェーダにおいて消化や変換の役割を持つエネルギーです。
ピッタは、良く働くと消化や代謝を促進させて心身に輝きをもたらしますが、増え過ぎると炎症を起こしてしまうため、バランスを保つことが大切です。
そこで今回は、アーユルヴェーダのエネルギー理論に基づいて、ピッタについて詳しく解説します。
ピッタの特性やピッタのエネルギーが人に与える影響、そして生まれつきピッタ体質の人の共通するボディ・マインドの傾向や、ピッタが過剰になっているサイン、そしてピッタをバランスするための食事法・スキンケア・アロマなどをまとめましたので、ぜひライフスタイルに取り入れてみてください!
アーユルヴェーダのエネルギー論に基づいたドーシャの一つ“ピッタ”とは?
ピッタとは、アーユルヴェーダにおいて人の体質や体調を診断するドーシャタイプの一つ、“火”と“水”の元素を持っています。
例えば、太陽の暑さと雨のジメジメが合わさった時、なんとなく不快でイライラしてしまうことありますよね。
それは、太陽の“火”と雨の“水”が身体の中で増えすぎている、つまりピッタがバランスを崩しているからだとアーユルヴェーダでは考えます。
●アーユルヴェーダ5元素に基づくピッタの役割
アーユルヴェーダでは、この世のすべては“地”“水”“火”“風”“空”の5元素で構成されていると考えます。
この5元素は、目に見えないエネルギーですが、霊的なものではなく物理学でいう電子や素粒子のようなものです。
5元素を簡素化し、人の体質・体調を表す3つのタイプに分けしたものがドーシャです。
・“風”と“空”が増えやすい人…ヴァータタイプ
・“火”と“水”が増えやすい人…ピッタタイプ
・“土”と“水”が増えやすい人…カパタイプ
●アーユルヴェーダ視点で考えるピッタの特性
アーユルヴェーダでは、5元素やドーシャにはそれぞれ特性があると考えます。
火と水の元素を持つピッタの特性は、熱性・鋭性・軽性・微油性・液性です。
ピッタは人の心身に宿り、消化や代謝といった役割を果たします。
食べたものを燃焼させたり、栄養素に変換したりする力、そして自信や意欲、負けず嫌いの気持ちなどは、ピッタのエネルギーによるものだと考えます。
同時に、食べすぎて胸焼けがしたり、怒りっぽくなったりするのは、ピッタのエネルギーが過剰になっている現象です。
ピッタのエネルギーは、すべての人がすべて持ち合わせているものなので、生まれつきのドーシャタイプがヴァータやカパでも、年齢や季節、時間帯などによってピッタが増える時があります。
●美容と健康に不可欠なアグニを司るピッタ
何かを消化する時に必要な火をアーユルヴェーダでは、アグニといいます。
アグニは、美容・健康を向上させる上でもとても大切な働きを果たします。
このアグニを働かせるのがピッタです。
アグニは、食べたものを正しく消化して組織(ダートゥ)を作り、オージャス(活力素)を生み出すという、身体にとても大切な働きを担います。
アグニが強すぎたり弱すぎたりすると、オージャスの代わりにアーマという毒素が生成されてしまいます。
このアグニの働きは、身体だけでなく心においても大切で、日々の中で受けるストレスや心の負担を消化する上でもアグニの働きが必要となります。
※アグニについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
「美容食材の吸収もUP!アーユルヴェーダアグニ(消化力)を調整する方法」
アーユルヴェーダから学ぶピッタ体質の人のボディ・マインドの特徴とは?
生まれつきの増えやすいドーシャのことをプラクリティドーシャと言います。
その人のプラクリティドーシャは、ボディと性格の特徴に現れます。
下記では、ピッタタイプの人に見られるボディの特徴と性格の傾向を上げました。
●ピッタ体質の人のボディの傾向
・中肉中背の比較的がっしりとした体型です。
・筋肉質で、プロポーションが良いです。
・身体が比較的柔らかいです。
・日焼けすると、すぐにお肌が黒くなります。
・髪の毛はやらかいくせ毛で、若禿や若白髪になりやすいです。
・顔のラインがシャープです。
・お肌は光沢があって、毛穴が目立ちやすいです。
・目は細く吊り気味で、鼻筋が細いです。
●ピッタ体質の人の性格の傾向
・ガッツがあって情熱的で負けず嫌いです。
・リーダー的存在で、目標向かって皆を率いていきます。
・自信家で、人から注目されることが好きです。
・論理的思考能力に優れています。
・神経質な面があります。
アーユルヴェーダから学ぶ ピッタが増えた時に起こるボディとマインドの不調
自信や輝きに満ちた生活を送る上で、ピッタは欠かせないエネルギーですが、増えすぎてしまうと、様々な不調を起こします。
ここからは、ピッタが増えすぎた時に現れるボディとマインドの不調をまとめてご紹介します。
自身のピッタバランスを測る材料としてご参考にご覧ください。
●ピッタが増えている時に起こるボディの不調
・ピッタが増えている時に起こる典型的な身体の症状は、消化不良と炎症です。
・胸焼けがしたり、消化力が不安定になって下痢を起こしたりすることがあります。
・湿疹や蕁麻疹、目の充血や鼻血もピッタが増えている時に起こりやすくなります。
・皮脂の分泌が増えて、オイリー肌になったりにきびができたりすることもあります。
・胃腸だけでなく、肝臓、胆のう、膵臓などが不調が起こります。
●ピッタが増えている時に起こるマインドの不調
・短気になったり、イライラしたり、怒りっぽくなるのは典型的なピッタの症状です。
・完璧主義が過ぎて、周りに敵を作ってしまうこともあります。
・嫉妬深くなったり、相手より優位に立とうする傾向も見られます。
・一方で、自滅願望を持つ激しい一面もあります。
・激辛を欲したり、やたらと高価なもの・高級なものを欲したりするのも、ピッタが増えている時のサインとなります。
●ピッタが増えやすい様々なタイミング
ピッタの過剰というのは、生まれつきのドーシャタイプに限らず誰にでも起こることです。
例えば、競争が絡むような仕事をしている時、大勢の前で講演会などを行う時、何か障害を乗り越えなければならない時などは多くの人のピッタが増えます。
また、30歳から60歳まではピッタのライフステージだと言われています。
さらに、1日の時間帯においても朝の10時~お昼の14時、夜の22時~2時は、すべての人にとってピッタの時間帯となります
アーユルヴェーダ生活でピッタを調整する方法
ドーシャとは、過剰なもの・病素という意味で、増えすぎたドーシャは病気をもたらすとアーユルヴェーダでは考えられています。
ドーシャのバランスを調整するためには、反対の性質をライフスタイルに取り入れていく必要があります。
ピッタドーシャと反対の性質とは、冷性・乾燥性・重性です。
●食事でピッタを調整する
・過剰ピッタを調整したい時には、甘味・苦味・渋味を意識して摂り、辛味・塩味・酸味は抑えるようにしましょう。
・ピッタが増えている時には、辛味を欲してしまいますが、ピッタをより増幅させてしまうので控える方がよいです。
・スパイスも使いすぎないように注意しましょう。
・適度に水分があり熱を冷やしてくれる、きゅうりやナス、甘味もあるスイカなどがオススメです。
・牛乳やギーは、ピッタを調整してくれると言われています。
・オイルは種類を選ぶことが大切で、ココナッツオイルやひまわり油がオススメです。
・ピッタは、消化力が上がって食欲が旺盛になりすぎてしまう傾向にありますので、食べ過ぎには注意しましょう。
●スキンケアでピッタを調整する
・過剰なピッタを調整したい時には、化粧水など水分保湿を中心としたスキンケアを行いましょう。
・美容オイルは使いすぎないように注意が必要です。過剰な油分がニキビを誘発すると共に、エイジングケアの天敵である過酸化脂質になってしまいます。
・ピッタは毛穴が目立ちやすい肌質なため、オリーブ種子や米ぬかを使ったスクラブや、収れん効果が期待できる化粧水で毛穴ケアを行うのがオススメです。
・クレイは、熱を冷ます効果があるのでオススメです。パックや洗顔などに使いましょう。
・日焼け後のサンバーンのケアとして、アロエベラを使うのも良いでしょう。
●アロマでピッタを調整する
・ピッタ過剰の時にオススメなのは、さわやか系のアロマです。
・ライム・レモン・グレープフルーツなどのシトラス系や、ペパーミント・ユーカリなどは、ピッタの熱を冷ましてくれます。
・アロマを香らせながら瞑想を行う場合には、涼しい環境を整えましょう。
・川のせせらぎや波などのサウンドミュージックをかけるのもおすすめです。
●その他のピッタ調整法
・シータリー呼吸は、ピッタのイライラや怒りの感情をコントロールしてくれます。
・マッサージを行う際には、ゆっくりとしたストロークで、身体を労るような動きを取り入れるのがオススメです。ピッタ肌は炎症を起こしやすいので、強すぎる、早すぎる動きには注意が必要です。
・ピッタが過剰な時は、アクション映画や戦争ゲームなど闘争心が強くなるエンターテイメントは控えましょう。
・オススメの運動は、水泳やスキーなど競争を伴わないものです。
・ファッションにおいても、赤やオレンジといったカラーを控えて、青や緑といった落ち着いた色味を取り入れてみましょう。
まとめ
今回は、アーユルヴェーダドーシャの中の“ピッタ”について、詳しく解説しました。
●ピッタとは、アーユルヴェーダにおいて火と水の元素をもつエネルギーで、日本人が増えやすいドーシャです。
●ピッタには、熱性・鋭性・軽性・微油性・液性などという特性があります。
●生まれつきピッタ体質の人は、筋肉質でプロポーションが良く、吊り目でツヤのあるお肌の方多いです。
●生まれつきピッタ体質の人は、自身家でリーダー気質、そして論理的思考能力の高い人が多いです。
●ピッタが過剰になると、炎症を起こしたり消化不良になったり、イライラしやすく怒りっぽくなったりします。
●ピッタを調整するには、甘味・渋み・苦味を増やし冷たいものを食べる、身体を鎮静させる、呼吸法や瞑想をするといった方法があります。