【アーユルヴェーダ理論】美容と健康に欠かせない“オージャス”とは?
何に対してもやる気がでない…
病気になりやすい…
不定愁訴が続く…
このような状態が続いている人は、もしかしたらオージャスが低下しているのかもしれません。
オージャスとは、アーユルヴェーダ独自の概念ですが、人が健康で過ごすために大事な役割を果たす「生体エネルギー」を意味しています。
オージャスが順調に生成されるようになると、身体が健康に美しくになるだけでなく、心も生き生きとして整います。
今回は、このオージャスについて分かりやすく解説すると共に、オージャスを増やす方法やオージャスの生成が低下してしまうライフスタイルについても分かりやすく解説していきます。
冒頭でお話したような不調がある方は、ぜひご参考にご覧ください!
アーユルヴェーダで度々登場する「オージャス」とは?
オージャスとは、食物が消化されたり代謝されたりする過程で生成されるエネルギーのことで、アーユルヴェーダでは、人が健康で美しい身体と心を維持する上で、なくてはならないものだと考えられています。
日本語では“活力素”と表現されています
●オージャスはアーユルヴェーダ独自の概念
オージャスは食物によって得られるエネルギーです。ただ、一般的なタンパク質や炭水化物と言った栄養素とは異なります。
オージャスは食物が消化・代謝される過程で作られる微細な物質で、ゆらぎやすいドーシャのバランスを整えたり、組織生成を助けたり、免疫機能を高めたりして、その人の生命機能を支えています。
一方、アーユルヴェーダの5元素で考えると「水」の要素を持つと言われています。
オージャスが順調に生成されているサインは、顔の艶、皮膚のハリ、自信、体力、決断力などから得ることができます。
一方、オージャスの生成が低下すると、病気やウイルスに感染しやすくなったり、アレルギーが悪化したり、やつれたり活力がなくなったりしてしまいます。
●オージャスを現代医学に置き換えると…?
医師の中には、オージャスは、人の細胞を構成するアミノ酸や、細胞核の成分である核酸を指しているのではないか?と推測されている人もいます。さらにピンポイントに、精子のDNAを表しているという意見もあります。
また最近の遺伝子学で話題になっている、エクソソームを指している可能性もあります。
エクソソームとは細胞から出るカプセル状の物質で、臓器同士に様々な働きかけを行うメッセージ物質です。
どれも考察の一つですが、現代の高度な医学によって明らかになった身体の仕組みを、まだ科学技術が発達していなかった5,000年前に、すでにアーユルヴェーダが何らかの形で捉えられていたとしたら、すごいことですね。
アーユルヴェーダが記しているオージャスが作られる仕組み
アーユルヴェーダでは、人が食べたものは、
1)身体の組織(ダートゥ)&老廃物(ラマ)
2)アーマ(毒素)
3)オージャス
のいずれかになると考られています。
人が健康を維持するためには、1)、3)のダートゥ&ラマかオージャスになる必要があります。
●食物がオージャスになるまで
アーユルヴェーダでは、口から体に入った食物は、7つの組織生成工場を経ていくと考えます。
7つの工場とは、
①血漿・リンパ→②血液→③筋肉→④脂肪→⑤骨→⑥骨髄→⑦生殖器
です。
それぞれの組織生成工場では、ダートゥアグニ(消化力)によって1つの組織と、2つの副産物と少量のオージャスが作られます。
そして、生成された組織は、次の組織生成工場の原料になっていきます。
オージャスは、それぞれの工場における消化・代謝の過程で少しづつ生成されていきます。
それは、ハチが多数の花から集めるハチミツのようなものと考えると分かりやすいです。
オージャスは、第7工場である生殖器で最も多く生成されて、最終的には心臓へ送られます。
●オージャスの生成に影響する組織の巨大ネットワーク
①血漿・リンパから⑦生殖器までの7つの組織生成工場は、強固なネットワークでに繋がっており、それぞれの働きが互いに影響を及ぼしています。
例えば、どこか一つの工場がうまく働かなかったり滞ったりすると、ダートゥ(組織)・ラマ・オージャスではなくアーマ(毒素)が生成されてしまいます。
また、一つの工場で起こる不具合は、その工場だけでなくその後に続くすべての工場に影響を与えます。
●オージャスが低下する要因
オージャスの低下には様々な原因がありますが、最も大きなものはアグニの低下です。
アグニとは、消化の火や代謝の働きを意味しています。
※アグニについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
「美容食材の吸収もUP!アーユルヴェーダアグニ(消化力)を調整する方法」
アグニの低下によって消化力や代謝が落ちると、必要なエネルギーが生成されず、代わりにアーマが生成されて、ますますオージャスが作られ辛くなるという悪循環を引き起こします。
またオージャスを低下させる要因の一つとして病気も上げられます。
心身障害・病原菌の感染・糖尿病・リウマチ・がん・腫瘍などは、オージャスを低下させる要因となります。
一方、アグニが過度に働くこともオージャスを低下させます。
強過ぎるアグ二には、食物を燃やし尽くして燃えカスを作り、オージャスをかく乱させて自己免疫疾患を生んでしまいます。
組織の工場ネットワークを順調に機能させるためには、食生活とアグニ(消化と代謝の力)をうまく調整することが大変重要になります。
オージャスを上手に生成するための生活習慣とは?
オージャスは、食生活を中心にライフスタイルを整えることで生成を増やすことができます。
ここからは、オージャスの生成を促す方法をご紹介していきますので、より健康に美しくなるためのポイントとして、ぜひ自身の生活に取り入れてみてください。
●オージャスが増える食事
・甘く、美味しく、消化しやすく、栄養バランスのとれているもの
・果物
・出来たての温かいもの
・適度に油分を含むもの
・毎食6種類の味をすべて摂る(甘味・酸味・塩味・辛味・苦味・渋味)
オージャスが生成されるまでの時間は、食物によって変わると言われています。
・牛肉・魚・豚肉は早くても2~3週間
・炊きたてのご飯は1~2日
・温めたミルクは30分
●オージャスが増える食べ方
・落ち着いた空間で座って食べる
・食事中はなるべく会話をせずに集中する
・よく噛む
・食事中に白湯をすする
・満腹まで食べない
・食後はすぐ動かず、数分間は消化の状態を見守る
●オージャスが増えるライフスタイル
・真実を語る
・休息と活動のバランスが取れた規則的な生活を送る
・気候や季節に従った生活をする
・人に与える(お金・食べ物・知識・優しさ)
・第6感を大事にする
オージャスの生成が低下してしまう生活習慣とは?
ここからは、オージャスの生成を妨げてしまうライフスタイルについてご紹介します。
自身のオージャスが低下しているように感じる人は、下記のポイントに少し気をつけて過ごしてみてください。
●オージャスの生成が低下する食事
・動物性の肉類(食べ過ぎない)
・卵(食べ過ぎない)
・チーズ(食べ過ぎない)
・加工食品
・油分の多いもの(食べ過ぎない)
・調理後に長時間放置したもの(できるだけ避ける)
・半煮えのもの
●オージャスの生成が低下する食べ方
・食べすぎや、酸味・塩味が強いものの過剰摂取
・食べたものが消化される前に次の食事を摂ること
・加熱したはちみつ
・食事と牛乳を合わせること
・少なすぎる食事・多すぎる食事(腹2/3~3/4がベスト)
●オージャスの生成が低下するライフスタイル
・タバコ
・アルコールのとりすぎ
・怒りや攻撃、悲しみなどのネガティブな感情
・過労
・過剰な性行為
・暴力
・他人を傷つける(心も含めて)
・過度な運動
・長期間の絶食
まとめ
今回は、アーユルヴェーダにおいて生体エネルギーとされているオージャスについてまとめました。
●オージャスは、食物の中に含まれる活力素であり、生体エネルギーのことです。
●オージャスが上手く生成されていると、お肌にツヤ・ハリが出たり、自信や活力に満ちた生活を送ることができたりする一方、低下すると、免疫力が下がって病気になりやすくなったり、疲れやすくなってやつれたりしてしまいます。
●オージャスは、現代の遺伝子学におけるRNAやエクソソームを指している可能性があります。
●オージャスは、食物が消化された後、7つそれぞれの組織生成工場においてダートゥやラマと一緒に
少量生成されます。また、第7工場である生殖器においてもっとも多く生成されると言われています。
●オージャスを上手に生成するには、温かく、適度に油分を含む栄養バランスのよい食事をほど良く摂ることや、心身の健康によいライフスタイルを整えることが大切です。
●動物性脂肪や加工食品を過度に摂取したり、嗜好品をとりすぎたり、怒りや悲しみなどもネガティブな感情を膨らませてしまうと、オージャスの生成を低下させてしまいます。