アーユルヴェーダ5元素の一つ“水”のエネルギーで瑞々しく過ごす方法
アーユルヴェーダ5元素の2つ目となる“水”は、万物に豊かさをもたらす元素です。
水とは、空からの恵みである雨、生命を育む海、山と海をつなぐ川、生物が生きる上で欠かすことのできない要素であり、人間の心と身体に潤いや順応性をもたらしてくれるものです。
今回はこの水のエネルギーについて、その役割や身体や心における働きなどを解説すると同時に、水のバランスを整えるための生活術などをご紹介します。
アーユルヴェーダ5元素の一つ“水”とは?
アーユルヴェーダでは、万物は5元素で構成されていると考えます。
5元素とは、地・水・火・風・空です。
元素は、言葉の通りの、自然の中にある目に見える物質であると同時に、目には見えない働きを担うエネルギーでもあります。
その中でも水は、その他の元素である地・水・火・風・空と結びついて、自在に変化したり、新しい物を生み出したりする力を持ちます。
●水の役割
水の役割は、創造と変換です。
水がない場所に生命は生まれません。水は生命を生み出す源であり、それらを育みます。
また、水が液体だけでなく、氷という固体、水蒸気という気体になったりするのと同様に、物質やエネルギーを変換させることができる元素です。
●身体における水の働き
水の元素は、人間の身体において、血液、リンパ液、消化液、血漿、細胞液、内分泌液などといった体液に関係します。
水の流れが良い人は、体内循環がよく、老廃物が溜まりにくいです。
また、身体の隅々まで必要な栄養素が行き届いて、体に潤いをもたらします。
●心における水の働き
水の元素は、人間の心において、柔軟性や充実感をもたらします。
水のバランスが良い人は、プラーナが通っていて自身のあらゆる可能性を自由に引き出すことができます。
人生の様々な変化に対しても、柔軟に受け入れて順応することができます。
水のバランスが崩れたときに起こること
水の元素は、増えすぎるのも、足りなすぎるのもよくありません。
しかし、どんなに生まれつき水のバランスが良い人でも、時間、季節、日々の出来事、年齢などによって
バランスを崩すことがあります。
水のバランスが崩れたときには、人の身体や心に下記のような傾向が見られます。
●水が過剰になったときの心身の変化
水が過剰になったときの身体の変化としては、むくみやすい、湿疹ができやすい、お腹がゆるくなりやすいといったことが起こります。
また心の変化としては、他人の意見や感情に左右されやすくなったり、自分を卑下しやすくなったりします。
●水が不足しているときの心身の変化
水が不足になったときの心身の変化としては、お肌や髪の毛が乾燥する、関節が固く感じる、老廃物が排出しづらくなるといったことが起こります。
また心の変化としては、ネガティブな感情が増えたり、他人とのコミュニケーションが億劫になったりします。
水のエネルギーを整える方法:食生活
水のエネルギーを整える上で大切なことは、日常生活において水をどのように摂取するかということがとても重要です。
●水が過剰なときの食事
“毎日できるだけたくさんの水を飲む”という健康法がありますが、アーユルヴェーダでは、必要な水の量はその人のドーシャバランスによると考えます。
水が過剰になっているときには、やはり飲み過ぎないということが重要です。
特に、食事中に飲水しすぎると、消化液を薄めてしまう可能性があるため注意しましょう。
また一日の水分量については、お水だけでなく、食事中に摂るお味噌汁や煮物などの水分も合わせて考えることが大切です。
食事中に飲み場合は、白湯をすすったり、食後にハーブティを飲んだりすることなどがおすすめです。
食事中に多くのお水を欲してしまうというのは、水分不足でなく、もしかしたら、食事の塩分量が多すぎるのかもしれません。
●水が不足しているときの食事
水のエネルギーが不足しているときには、水分量を増やす必要がありますが、その際に大切なのが、その水分の摂り方と種類です。
水分は一気に摂るのではなく、こまめにとることが心身の水を保持するためにも大切です。
また、ミネラルウォーターだけでなく、ハーブティやスパイスティなどを積極的に取ると、体内のバランスを整えやすくなります。
白湯は、アーユルヴェーダにおいて5元素がすべて含まれるパーフェクトドリンクと言われています。
やかんさえあれば、だれでも簡単に作ることができますので、ぜひ取り入れてみてください。
※白湯の作り方はこちら
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水のエネルギーを整える方法:運動
水のエネルギーをバランスしていくためには、日々の運動で、程よい流れを維持していくことが大切です。
水のエネルギーをバランスするための運動法は、水の流れが良くなりすぎている時と滞っている時で方法が異なります。
●水が流れが早すぎるときのエクササイズ
水の流れが早すぎる原因は2つ考えられます。
一つは、水の元素そのものの量が過剰になっていること、もう一つは、水を運ぶ風のエネルギーが過剰になっていることです。
それらの問題を解消するためには、激しい運動や長時間の運動を控えて、ストレッチやリラックスヨガ、陰ヨガといった、ゆっくり・じっくり身体を整えられる運動がおすすめです。
また、水の元素は下腹部に宿ると考えられていますので、お腹に意識を向けるヨガポーズやエクササイズはとても有効です。
●水の流れが滞っているときのエクササイズ
水の流れが滞る原因は2つ考えられます。
一つは、水の元素そのものが不足していること、もう一つは、流れの速さを調整する地のエネルギーが過剰になっていることです。
それらの問題を解決するためには、全身を継続的に動かすフローヨガやパワーヨガ、ジョギングや水泳といった運動で、全身のめぐりをよくしたり、身体の硬さを取り除いたりしていくことが必要です。
水のエネルギーを整える方法:マインドケア
人の感情に大きな影響を与える水の元素は、バランスを保つためのマインドケアが最も大切となります。
●水が過剰なときのマインドケア
水が過剰なときは、自身の心の移り変わりに翻弄されしまうかもしれません。
しかしそれは、あなたではなくあなたの中の水の元素によって起こっていることなので、落ち込んだり、自信を失ったりする必要はありません。
水が本来の穏やかさを取り戻すまで、マイペースに生活することを意識しましょう。
アーユルヴェーダの関連経典においても、「水は月に属するものである」という記述があります。
自分や世界における「静」の側面に少し意識を傾けて、心を落ち着ける瞑想や月浴などを行うことで
水の元素が本来のバランスを取り戻してきます。
●水が不足しているときのマインドケア
水が不足しているときは、外からの情報や刺激を受け流せず、自分の中に溜め込んでしまったり、乾きをもたらしてしまったりするかもしれません。
人は本来、心身に必要なエネルギーをとどめて、必要のないエネルギーは外に流していく水のコントロールが自然にできます。
その働きを取り戻すためには、水に触れるマインドケアがおすすめです。
具体的には、海や川の水に触れたり、お風呂をリラックス場所として活用するといった方法があります。
実際の水に触れることで心の柔軟性が上がり、外からの情報や刺激を自分の力に変えて、新しいものを生み出す力を得ることができるようになります。
水のエネルギーを整える方法:美容法
水のエネルギーは、身体に潤いをもたらし、お肌を活き活きさせる働きがあるので、美容という面でもとても役立ちます。
しかし、水の美しさを保つには、多すぎたり少なすぎたりすることなく、良いバランスを保つ事が必要となります。
また、地の元素と結びついて、豊かなお肌の土壌を作ることも大切となります。
●水が過剰なときの美容法
水が過剰になると、お肌の弾力を作る土台が不安定になったり、敏感肌に傾いてしまったりすることがあります。
特にお肌は、水に濡れているときが最も刺激に弱ので、注意が必要です。
水が過剰になっているときは、スキンケアよりも食事で内側から美しくなることに気を配ることが大切です。
特に、筋肉や脂肪といった体の組織につながるタンパク質の摂取を心がけましょう。
●水が不足しているときの美容法
水が不足していると、多くの人が想像する通りお肌が乾燥してきます。
お肌が乾燥しているということは、身体の中も乾燥しているというとなので、内側・外側両面からの水分補給が大切となります。
またお肌については、化粧水等で水分を補ったあとは、オイルやクリームなどで水分を閉じ込めるというステップも大切となります。
毎日丁寧にスキンケアを行うことで、角質層の保湿バランスを整えましょう。
まとめ
今回は、アーユルヴェーダ5元素の一つ、水の元素についてその役割やバランスを整える方法などを解説しました。
●水の元素は、万物に豊かさをもたらすものであり創造と変換の役割を果たします。
●水の元素は、人間の身体において、血液、リンパ液、消化液、血漿、細胞液、内分泌液などに関係し、心においては創造性や柔軟性をもたらします。
●水のエネルギーが過剰になると、むくんだり、湿疹がでたり、優柔不断になったりします。
●水のエネルギーが不足していると、乾燥したりネガティブになったりします。
●水のエネルギーを調整するための食事法では、水の摂り方と種類が重要となります。
●水のエネルギーを調整する運動法は、流れが早すぎるときはゆっくりとしたエクササイズ、滞るときには、動かすようなエクササイズが必要です。
●水のエネルギーを調整する上で最も大切なのはマインドケアです。
水が過剰なときには、「静」を生活に取り入れる、不足しているときには美しい水に触れるようにしましょう。
●水のエネルギーを活かしてきれいになるには、過剰な水を調整するためのインナーケアや不足しているときの保湿ケアが重要となります。