ヨガで唱える神秘のマントラ「オーム」とは?意義そして身体・心・精神にもたらすもの
「オーム」とは何か、一生かかってもそのすべてを分かることはできないかもしれないと思えるほど、大きすぎる存在です。
でも、オームについて何も知識を得ずにただ唱えていた以前と、少しでもその意義を知ってから唱えている今では、私自身、オームへの意識やヨガへの向き合い方が大きく変わったので、今回まとめてみることにしました。
今回は、ある一つの書籍を元にしています。
このブログでオームのすべてを解説することはできませんが、オームを初めて聞いた方やヨガ哲学を学んだことがない人方でも理解できるよう、オームの世界観をできる限りわかりやすく噛み砕いて解説してみました。
オームに対する私の主観はできる限り含まないように気をつけていますが、文章にする以上、どうしても表現の中に私の見解が含まれている部分もあると思いますので、その点はどうかご了承くださいm(_ _)m
オームについてもっと詳しく知りたいと思われる方や、聖典に近い原文のまま読んでみたいと思われる方は、末に記載した参考書籍をぜひ購読してみてください!
ヨガで一番よく知られているマントラ「オーム」とは?
“27)オームは神の名であると同時に、形である”
ここでいう神とは、特定の宗教に限定される特定の神ではなく、インド哲学が示す万物の源のことであり、万物の中にある純粋な存在(プルシャ)のことを指しています。
イーシュヴァラ、ブラフマン、アートマーとも言えます。
また、伝えるための表現として、カタカナで「オーム」と表記しているものの、実際オームは言葉というより“うなり”や“波”のようなものなのだといいます。
●なぜ「オーム」か?
オームは、神の名前・形であると同時に、世界の創造、維持、破壊を表す神秘音とも言われます。
オームをアルファベットで表すとAUM。
Aが創造、Uが維持、Mが破壊です。
これは実際に口から音を出してみるとその意味がよく分かります。
まず、口を大きく開けてそのまま声を発すると、Aつまり「アー」と聞こえます。
そこから、少しづつ口を閉じていくと、途中で「オー」という音に変わり、さらに閉じていくとMつまり「ウー」という音になり、最後に唇を閉じると、Mつまり「ムー」という音になっていきます。
口を開けてから閉じるまでの音の変化が、世界の創造・維持・破壊を表しています。
●AUMと共にあるアナハータ
AUMと共にあるのがアナハータです。
アナハータとは、言語音を超えた余韻のようなもののこと。
例えば、大きなホールでオーケストラの演奏を聴いていたとします。
曲がクライマックスを迎え、すべての楽器が一体となって音を奏でて盛り上がりを見せた後、指揮者が演奏の最後を告げる指揮棒を振り切って、手を閉じる!
・・・そこで曲は終わったはずなのに、その後も、耳の奥で音がかすかに鳴り続けいているように思える・・・という時があります。
その、耳の奥でかすかになり続けている音、アナハータに近いものといえます。
しかし、アナハータの場合は、オームを唱えた後だけでなく唱える前から続いている永遠の余韻です。
オームが始まりも終わりもない無限の存在であるということを、このアナハータが気づかせてくれます。
●オームを作ったのは誰か?
オームが神の名前・形であると決めたのは誰なのか?
それは、特定の誰かでもなく、敢えていうのでればダルマであるといえます。
修行を続けている聖者達が、自身の中に同じ音・うねり・波動・観念を覚えた、それがみんな同じ“オーム”であったいいます。
マントラ「オーム」が身体・心・精神に与えるもの
オームは、ヨガやアーユルヴェーダの世界において、最もよく知られたマントラの一つです。
書籍によると、オームを唱え続けることで、日常生活を送りながらも、心の一部で神(真我)と繋がり続けることができるといいます。
煩悩に囲まれた世界で、自身の欲を満たすための行いを続けていたとしても、オームが黄金の綱となり、それを引っ張ることで自分と神との繋がりをいつでも思い出させてくれます。
またオームを唱えることで、世界の創造・維持・破壊、そして自分の中に起こる創造・維持・破壊を観ることになり、それは同時に、世界と自分が同一であること、そしてそれは永遠である、ということに気づくきっかけになるというのです。
“29)これを修することにより、すべての障害が消え、同時に内なる真我の知が明け初める”
オームという無限の音を感じ続けることで、知らず知らずのうちに制限していた自分の枠を取り払い、
無限の可能性を広げることができるようになるといいます。
マントラ「オーム」の唱え方
オームは不思議なマントラです。
書籍によると、本来オームは音に出して唱える必要がないそうです。自分の中に感じさえすれば、自然と
そのうなりが聞こえてくるといいます。
とはいえ、何か実感できる方法が知りたいですよね。
“(28)意味を熟慮しつつ、それ<オーム>を反復誦唱するのがよい”
それには2つの方法があるそうです。
●音に出すオーム
一つは、声に出して唱える方法です。
前述した通り、アの口で(自然とオになっていく)、少しづつ口を閉じて音を唇に近づけながら(自然とウになる)、最後に口を閉じる(自然とムになる)、口を閉じた後も、音の波動が消えていくまでその余韻を感じます。
●心の中で唱えるオーム
もう一つは、心の中で唱える方法です。
音に出すのと同じ方法で、心の中でオーム、AUMを唱えます。
聖典によると、音に出すより心の中で唱えるオームのほうが、身体・心・精神にそのバイブレーションが響くのだそうです。
今回参考にした書籍
今回参考にさせて頂いたのは、スワミ・サッチダーナンダ 著「新版インテグラル・ヨーガ パタンジャリのヨーガ・スートラ」です。