アーユルヴェーダが考えるお肌の役割と、心身の健康&美容に繋がる4つの自然スキンケア法
今回は、アーユルヴェーダの身体論を基に、お肌の持つ役割や機能を解説すると同時に、スキンケアが身体や心に与える影響などを解説します。
後半では、心や身体の健康・美容に繋がるアーユルヴェーダのスキンケア法もご紹介しています。
よかったら、ご参考にご覧ください!
まずは知っておきたい、お肌の基本構造と役割
お肌は、人にとって最大の臓器です。
お肌に状態を見ることで、身体の中の状態が分かると言われます。
お肌は、表皮・真皮・皮下組織の3つの層に分かれています。
●表皮
表皮は、一番外側の層であり空気にふれている部分です。
表皮は0.2mmほどととても薄く、顕微鏡などで除くと表面は平らでなく、もこもことわずかに隆起しています。
また表面は、皮脂膜という天然の保湿成分でカバーされています。
表皮の役割は、紫外線や異物といった外部からの刺激が身体の内部に侵入しないよう守ることです。
そのためには、皮脂膜や細胞間にある天然保湿成分を守ることが大切となります。
最表にある角化細胞は、4週間毎に表面から剥がれ落ちていきます。
これをターンオーバーといいます。
ターンオーバーの働きが乱れて、古い角質がいつまでも残っていると、お肌がごわついたり、キメが荒くなったりします。
●真皮
真皮は、表皮の下にある層です。
真皮も1.8mmほどと薄く、網目状に張めぐされたコラーゲン繊維の間を、ヒアルロン酸などでできたゼリー状の成分が満たしたり、エラスチン繊維が網目同士をくっつけたりしています。
真皮のもっとも大切な役割の一つは、お肌のハリや弾力を保つことです。
そのためには、真皮細胞の材料となるタンパク質やビタミンなどをしっかり体内に取り入れるとともに、それらがきちんとお肌に届くよう血流や代謝をよくしておくことが大切となります。
代謝不良や老化などで、真皮の働きが鈍くなったり真皮の構造が崩れたりすると、お肌の弾力が失われて、シワやたるみなどを引き起こします。
●皮下組織
皮下組織は、真皮の下にある層です。
皮膚とその下にある筋肉・骨をつなぐと共に、皮下脂肪が身体全体のクッションのような役割を果たします。
血管もここにあります。
筋肉が落ちたり骨がもろくなったりすると、その結合が弱くなり、真皮や表皮の機能低下にも繋がります。
アーユルヴェーダの視点で観る、お肌の役割とは?スキンケアを大事にする理由
アーユルヴェーダが考えるお肌の役割や機能は、現代医学のそれとは少し異なります。
生理学的なことだけでなく、微細なエネルギーレベルにまで関係していると考えます。
●アーユルヴェーダが考えるお肌の役割
アーユルヴェーダでは、お肌は触覚を感じるための感覚器官であり、5元素の一つである、風エネルギーの出入り口だと考えます。
風のエネルギーとは、ヴァータを構成するエネルギーの一つで、主に動性を司っています。
※ヴァータについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
「アーユルヴェーダにおけるドーシャの一つ“ヴァータ”について徹底解説!」
●スキンケアは身体のバランスを整える
アーユルヴェーダには、スキンケアによる健康法がたくさんあります。
アーユルヴェーダのスキンケア法は、お肌の健康や美容を保つという部分的なものだけでなく、7つの組織(ダートゥ)を機能させて、身体の中の状態を良くするという目的があります。
7つのダートゥとは、血漿・リンパ液、血液、脂肪、筋肉、骨、骨髄、生殖器のことで、スキンケア、特にマッサージはこれら7つのダートゥの働きをよくすることができると考えられています。
●スキンケアはこころのバランスを整える
アーユルヴェーダでは、スキンケアが心のバランスも整えると考えます。
風のエネルギーがアンバランスになると、不安感や虚無感、焦燥感、孤独感などを覚えるようになります。
しかし、手を使ってお肌に触れるケアを行うことで、触覚という感覚器官が働き、心に安心感や充実感などが生まれるとともに、自分と世界との繋がりを感じられるようになります。
健康と美容に繋がる基本のスキンケア法①:オイルマッサージ
アーユルヴェーダのスキンケア法において、もっとも代表的なのが、アビヤンガと呼ばれるオイルを使った全身マッサージです。
アビヤンガを行うことで、オイルを塗った部分が強くなると言われています。
また、お肌に光沢が生まれる、内蔵の働きが良くなる、免疫力が上がる、筋肉のコリが緩和されるといった身体の効果に加えて、疲労回復や不眠症改善といった効果も期待でき、身体と心の状態を底上げしてくれると言われています。
さらに古典書によると、アビヤンガを行うことで、スロータスという身体の中の管に張り付いているアーマ(不要物・不毒素)が取り除かれるといいます。
アビヤンガは主に、パンチャカルマという浄化療法の前処置・後処置として行われるものですが、アビヤンガ単体でもお家できる健康法として行われます。
※アビヤンガの詳細や方法はこちらの記事をご確認ください。
「アーユルヴェーダの全身オイルマッサージ“アビヤンガ”とは?簡単な実践方法もご紹介!」
健康と美容に繋がる基本のスキンケア法②:ガルシャナ
ガルシャナとは、日本風にいうと乾布摩擦のことで、アーユルヴェーダドーシャのカパが増えているときにおすすめのスキンケア法です。
絹の手袋で、全身を擦るというスキンケア方法、オイルを使わないマッサージです。綿や麻のタオルでも代用できます。
毛の流れに逆らうように、身体を擦ることで、カパ特有の重さや停滞感などが取り除かれて、細胞の働きが活性化されていきます。
また、怠さや眠気といった心の不調も改善されていくと言われています。
健康と美容に繋がる基本のスキンケア法③:スクラブ
アーユルヴェーダスキンケアの一つに、スクラブを使った方法があります。
ハーブなど自然のもので作られたスクラブでお肌の表面を擦ることで、表皮に残っている余分な角質が除去されて、内側にあるきれいで新しい細胞が現れます。
スクラブは、お肌を生まれ変わらせて美肌に導くとともに、身体と心の老廃物を取り除いて全身をスッキリさせる効果があります。
健康と美容に繋がる基本のスキンケア法④:スチーム
アーユルヴェーダでは、スチームを使って身体を温めるスキンケア方法があります。
本格的なトリートメント施設では、ハーブを引き詰めた木製のドームに身体を入れて(頭は出しておく)、下から蒸気を当てながら全身を温めていきます。
一般家庭で行う代替法としては、バスソルトやハーブなどを入れたお風呂に浸かるというのがおすすめです。
自分のドーシャバランスに合わせた精油を湯船に入れたりお風呂で香らせたりするのもよいでしょう。
身体を温めることで、全身の巡りがよくなると同時に、真皮の毛細血管まで血液が流れて、栄養素が肌細胞までしっかり届くようになります。
まとめ
今回は、お肌の役割や機能を現代医学とアーユルヴェーダの身体論で比較するとともに
アーユルヴェーダで行われている心身の健康と美容につながるスキンケア法をご紹介しました。
●お肌は人の最大の臓器であり、表皮・真皮・皮下組織に分かれています。
●表皮は、外部からの刺激が体内に入らないよう守る役割があり、真皮はお肌のハリや弾力を支える役割があり、皮下組織は、骨・筋肉と皮膚をつなぐのクッションのような役割があります。
●アーユルヴェーダでは、お肌は触覚を感じる感覚器官であり風エネルギーの出入り口と考えます。
●アーユルヴェーダでは、スキンケアによって、体内の組織(ダートゥ)の働きを活性化させたり、心の不安感などを取り除いたりすることができると考えます。
●アーユルヴェーダのスキンケア法には、オイルマッサージ、ガルシャア、スチーム、スクラブなどがあります。