【アーユルヴェーダライフスタイル】暑い夏を快適に健康に過ごす知恵
アーユルヴェーダでは、夏はピッタという火と水の元素を持つエネルギーが増えやすい季節だと考えます。
過剰となるピッタを調整することで、暑く体力を消耗しやすい夏も快適に過ごすことができます。
そこで今回は、アーユルヴェーダの知恵をもとに、夏に増えやすいピッタ調整法をご紹介したいと思います。
ピッタ調整法といっても特別な方法ではなく、毎日の食事・運動・その他の生活習慣で簡単に取り入れられる内容ばかりなので、夏が苦手な方や夏に体調を崩しやすい方は、ぜひ試してみてください!
アーユルヴェーダが考える夏の性質とは?
アーユルヴェーダにおいて夏は、下記のような変化が起こる季節だと考えます。
●火と水の元素が中心となる世界
アーユルヴェーダでは、夏は第一に火、第二に水のエネルギーが増えやすい季節だと考えます。
例えば夏に太陽の光が強くなることや気温が高いこと、これは火のエネルギーが増えていることによるものです。
そして、喉が渇きやすかったり、汗をかきやすかったりするのは水の影響が考えられます。
さらに、夏の空が他の季節と比べて明るく輝いているように感じられたり、海や河といった水の多いところへ行きたくなったりするのは、まさに火と水の元素が増えているからといえます。
●ピッタドーシャが増えやすい
火と水の元素によるエネルギーを、アーユルヴェーダでは“ピッタドーシャ”と言います。
ドーシャとは、生命を司っている3つのエネルギーのことで、すべての人は生まれつきヴァータ・ピッタ・カパのいずれかのドーシャタイプが決まっています。
しかし、季節もドーシャバランスに影響を与えるため、どのドーシャであっても夏はみんなピッタが増えやすくなります。
特に、生まれつきピッタタイプの方は特に注意が必要で、夏を健康に過ごすためには、ピッタが増えすぎない工夫を行いながら生活することが必要となります。
●心も身体も熱しやすく、鋭くなりやすい
ピッタには、熱性・鋭性・軽性・微油性・液性という性質があります。
夏に体が火照る、お肌が光沢感が出る、痩せやすいなどというのは、ピッタの影響による身体の変化といえます。
また、イライラしやすかったり、意欲が湧いたり、アクティブになったりするのも、ピッタのエネルギーが増えているからだと考えられます。
【アーユルヴェーダの知恵】夏のピッタを調整するための心得
ピッタは、様々な栄養素を消化しそれらをエネルギーへと変換することで、人を輝かせ、上昇させるエネルギーをもたらすのですが、一方で増えすぎるとせっかく得たエネルギーを焦がしたり、未消化による毒素(アーマ)を生んだりしてしまうので、上手に調整することが必要です。
●火・水以外の元素を意識する
夏は火が強すぎると乾燥させてしまい、水が強すぎると火を消してしまう可能性があるので、この極端な変化を調整するには、火・水以外の元素、つまり地・風・空の元素を意識することが大切です。
具体的には、密度の高い物質を取り入れる、風を感じる、空間を意識するといったことが必要となります。
●冷性・穏やかさ取り入れる
ピッタ調整には、ピッタと反対の性質を取り入れるということが大切です。
具体的には、冷性・鈍性・重性・乾燥性で、心身を鎮静させたり身体を休ませたりすることが必要となります。
日中はどうしても火が強くなりやすいので、夏は夜の時間を大事にして、体を冷ます、調整するということを心がけてみましょう。
外出したり運動をしたりするのも、夜の涼しい時間帯がおすすめ、夜しっかり鎮静することで、日中もピッタの火を増やしすぎることなく過ごすことができるようになります。
アーユルヴェーダに基づいた季節習慣:夏のライフスタイル
アーユルヴェーダでは、日の出の96分前に起床するのが良いとされています。
夏は、4時半ごろが日の出となるのでその96分前ということは、3時・・・とても現実的じゃないですね。従って1年の中で平均的なブラフマムフルタの時間帯である5時ごろに起きるのがベスト、逆算すると10時ごろには就寝となります。
また1日の中で、朝の10時~14時、夜の22時~翌日の2時がピッタの時間帯となるので、特にこの時間帯はピッタを増やしすぎない生活を心がけましょう。
特に朝の10時~14時は外出をできる限り控えて部屋の中で過ごし、涼しくなった夕方以降に活動するのがおすすめです。
●太陽の光に気をつけよう
健康や美容のための紫外線予防は1年中必要ですが、夏は特に気をつけたい季節です。日焼け防止だけでなく、ピッタの火を調整するためにも、日傘や防止、日焼け止めといった対応は大切となります。
またピッタの座の一つである目を守ることも大切です。
外出時にサングラスをかけることももちろん、PCやスマホの光による目の不調も夏に出やすくなるので、使用時間を減らす、アイマスクなどで休ませるといったケアを取り入れてみましょう。
アーユルヴェーダに基づいた季節の食事法:夏の食材・食べ方・食生活
まずは、夏の食生活についてです。
アーユルヴェーダでは、食べたものがその人を作ると考えており、食事を最も大切にしています。
また、アーユルヴェーダでは旬の食べ物がその季節の体調を整えるものと考えていますので、夏に旬な食材は積極的に取り入れていきましょう。
●積極的に取り入れたい味覚
甘味・渋味・苦味
●控えたい味覚
塩味・辛味・酸味
●積極的に取り入れたい食材・調味料・スパイス
・ブロッコリー、キャベツ、パクチー、オクラ、きゅうり、かぼちゃ
・鶏肉、白身魚など軽めの肉・魚類
・ミント、レモングラス、甘草などのハーブ
・ひまわり油、ココナッツオイル、オリーブ油など
●控えたい食材・調味料・スパイス
・揚げ物や牛肉、ラム、マグロなどの重めな肉・魚類
・ナッツ類
・発酵食品
・アルコールは控えめか、コロナビールのような軽いものに変える
・クランベリー、木苺、キウイなどのすっぱい果物
→熟して甘くなっていたらOK
・レッドペッパーなどの辛いスパイス
→代わりに山椒を取り入れるのがおすすめ
●心がけたい食べ方
・暑いときは、辛いものや酸っぱいものを食べたくなりますが、それはピッタがよりピッタを増やそうと働くからです。少しは大丈夫ですが、食べ過ぎには注意しましょう。
・水分の取りすぎには注意しましょう。特に夏の食材は水分が多いので、食事中はあまりお水を飲みすぎないように、喉を潤す程度にしておくのがおすすめです。
・ピッタは、他のドーシャと比較して生のサラダや果物の消化に耐えられる傾向がありますが、食べすぎない用に注意すること、また果物はなにかと組み合わせるのではなく、単体で摂るようにしましょう。
・夏は消化力(アグニ)が高まりすぎてエネルギー不足になったり、反対に、落ちて消化不良になったりと、不安定になりやすいです。自身の消化状況をしっかり観察しながら食生活を送るようにしましょう。
アーユルヴェーダに基づいた季節の運動法:夏の運動習慣
次は、夏の運動習慣についてです。
夏は、普通に過ごしていても、火と水のエネルギーによって体力を消耗しやすいので、激しい運動はおすすめしません。
特に、気温の高い日中の激しい運動は避けて、早朝や夕方以降に軽い運動を行うようにしましょう。
●夏におすすめのヨガポーズ
アーユルヴェーダで運動といえばやっぱりヨガ、これは季節関係なくいつ何時もおすすめです。
身体を動かしたり鍛えたりできるだけでなく、自分の身体と心の状態を観察することにも繋がります。
夏におすすめのポーズは「ねじり系」です。
・捻った体側を伸ばすポーズ(パリヴリッダ・パールシュヴァコナーサナ)
・三角のねじりポーズ(パリヴリッダ・トリコーナーサナ)
・座位のねじりポーズ(アルダ・マッツェンドラーサナ)
などを取り入れることで、ピッタの首座である胃と小腸にも働きかけることができます。
●その他夏におすすめの運動
・登山
高地は比較的涼しく、マイナスイオンで心が鎮静されます。
・水泳
熱で火照った身体・心を冷やしてくれます。
・夜の散歩
月の自然な鎮静作用を活用しましょう。
アーユルヴェーダに基づいた季節のリラックス法:夏に取り入れたいセルフケア
最後は、夏に取り入れたいセルフケアについてです。
●意識的に休む、休息を取る
ピッタが増えやすい夏は、意欲が高まったりチャレンジ精神が旺盛になったりと良いことも多いのですが、熱中しすぎると体力を消耗したり、ヒートアップしすぎてしまうこともあります。
どんなに頑張りたいと思っていても、意識して休息をとることや、身体を鎮静させることを意識して動きましょう。
涼しい場所や風の吹く場所で目を閉じてリラックスしたり、自然に触れたりするのもおすすめです。
●オイル少なめ、鎮静系のスキンケア
夏にピッタが増えると、炎症が起きてお肌に赤みや発疹が出たり、油分が増えてニキビなどができやすくなります。
オイル系の美容は控えめにして、お肌を冷やすパックや化粧水などで水分を補うスキンケアを行うのが良いでしょう。
アロエジェルやハーバルウォーターなどもオススメです。
●涼を取り入れたファッションを・・・
ピッタが増えやすい夏は、ブルーや紫などのファッションを取り入れるのがおすすめです。またそれ以外の色を取り入れる場合でも、できる限りクール、あるいはソフトな淡い色を選ぶとピッタを調整することに繋がります。
黒と赤はピッタを増やしてしまう傾向がありますので注意しましょう。
まとめ
今回は、アーユルヴェーダの知恵を元に、暑い夏を快適に健康に過ごすおすすめの生活習慣をご紹介しました。
●夏は5元素でいうと火と水の元素、性質でいうと熱性・鋭性・軽性・液性・微油性、ドーシャでいうと、ピッタが増えやすい季節です。
●夏に増えやすいエネルギーを調整するためには、土・風・空の元素や、冷性、重性、乾燥性といった性質を取り入れた生活を送るのがおすすめです。
●夜明けが早い夏は◯時ごろ起床し、太陽が最も照りつけるお昼の時間帯よりも夕方以降の時間を有効に使うのがよいでしょう。
●食生活においては、甘味・苦味・渋味を積極的に摂る一方、揚げ物や辛い物などを控えるとともに、水分の摂りすぎにも注意しましょう。
●ヨガのポーズでは、アグニ(消化力)に働きかけるような、ねじりのポーズを取り入れるのがおすすめ、その他、登山や水泳といった運動習慣もよいでしょう。
●夏は光のエネルギーが満ちてアクティブになれる季節ですが、その分体力や気力を消耗しやすいので、十分な休息・鎮静を心がけたり、オイル美容を控えること、ブルーや紫といったクールなカラーのファッションを取り入れるのがおすすめです。