アーユルヴェーダ5元素の一つ“空”のエネルギーで自身を認め、可能性を広げる方法
アーユルヴェーダ5元素の5つ目となる“空”は、運動も変化もない無の空間を表すもので、万物に存在する場所を与えるとともに、他の元素、地・水・火・風の働きを調整し高める役割を担っています。
今回はこの空のエネルギーについて、その役割や、身体や心における働きなどを解説すると同時に、空のバランスを整えるための生活術などをご紹介します。
アーユルヴェーダ5元素の一つ“空”とは?
アーユルヴェーダでは、万物は5元素で構成されていると考えます。
5元素とは、地・水・火・風・空です。
元素は、言葉の通りの、自然の中で感じられる要素であり、目には見えない働きを担うエネルギーでもあります。
その中でも空は、足りない地・水・火・風を補うためにも、増えすぎた地・水・火・風を取り除くためにも必要な“スペース”としての役割を果たします。
●空の役割
空の役割は、万物に存在の場を与え、また新しい可能性を広げることです。
例えば地の元素が足りないと、土台が不安定になってしまうため補う必要がありますが、そのためには、地を増やすための場所が必要となります。
また別の見方をすると、無限の空間が広がっているからこそ、土の持つ芯の強さや包容力を高めていくことができるのです。
空には微細性という性質があります。
空のエネルギーバランスを調整し、またその強みを上手に活かすためには、微細な変化をキャッチする感受性が大切となります。
●身体における空の働き
空の元素は人間の身体において、口腔、鼻腔、胸腔といった体腔や内腔などの働きを司っています。
身体の中の空の働きをよくすることは、筋肉や骨の安定感、血液やリンパ液の流れ、代謝や消化力、内蔵の働きなどを、全身の働きを助けることに繋がります。
また空は、声帯や話すという行為、そして感覚器官としては聴覚と関連性が深いとされています。
●心における空の働き
空の元素は人間の心において、余裕をもたらし可能性を広げます。
空のバランスが良いと、自身の身体・心・魂を感じる余裕が生まれます。
また、無限に広がっている大空のように、遮ったり強制されたりすることのない自由な発想、方法、行動を可能にさせてくれるエネルギーとして働くのが空です。
空のバランスが崩れたときに起こること
空は最もバランスが崩れやすい元素といえます。
特に、現代のような情報過多の時代(人が1日に得る情報は、平安時代の人の一生分に値するのだそう!)において、空のエネルギーを大事に生活することは難しいものです。
心と身体に余裕をもつためには、自身を俯瞰する時間を作り、微細な変化をキャッチする感受性を養うことが大切となります。
●空が過剰になったときの心身の変化
空が過剰になったときの身体の変化としては、話せない(声が出づらい)、音が聞こえづらいといったことが起こる可能性があります。
また心の変化としては、ぼーっとすることが多くなる、物忘れが多くなる、理解力が落ちるといった傾向が見られます。
また、社会生活から離れたくなったり、人間関係などをリセットしようとしたりするのは、空が過剰になったときにおこりやすいことといえます。
●空が不足しているときの心身の変化
空が不足しているとき、身体の変化としては、喋りすぎる、周りの音や声が必要以上に入ってくる・過剰に気になるといったことが起こる可能性があります。
また心の変化としては、一言でいうとパニックになりやすいということです。
人の話や外から得た情報を頭の中で取捨選択したり整理したりすることができず、混乱してしまうというのは空が不足しているときに起こりやすいことです。
空のエネルギーを整える方法:食生活
空のエネルギーを整えるための食生活として大切なことは、食事の摂り方にあります。
●空が過剰なときの食事
空のエネルギーが過剰なときの食事のポイントは3つあります。
一つは、自分で料理をしてみることです。
用意された料理を食べるのではなく、自分自身で繊細な味の調整を行うことで、心と身体の感覚が研ぎ澄まされていきます。
もう一つはこれまで食べたことのない料理を食べてみるということです。
そして料理の味、色、食感、匂い、咀嚼音など、5感を働かせながら食事を摂ることで、自然と空のエネルギーが調整されていきます。
最後は、誰かと一緒に食べる時間を作るということです。
そして、料理について感じたことを言葉にして相手に伝えたり、反対に相手が感じたことを聞いてみたりすることで、空の元素と関連性がある、話すこと、そして聴覚が働くようになります。
●空が不足しているときの食事
空のエネルギーが不足しているときの食事のポイントも3つあります。
一つは、ゆっくり食事を摂ることです。
空が不足しているときは、往々にして食べるのが早かったり、食卓が落ち着いていないということがあります。
空の元素を増やすためには、好きな料理を食器に丁寧に盛り付けて、食事を包括的に楽しむことが大切です。また、食べる前には、手を合わせて「(命を)いただきます」食べたあとに「ごちそうさまでした。」と挨拶をすることも大切です。
もう一つは食事に集中することです。
スマホやTVなど“ながら食べ”を避けて、静かな環境で食事をすることに集中してみましょう。
最後は、一人で食べる時間を作ることです。
いつも一人ということではなく、1日に1回や数日に1回、自分だけの空間で食事する時間を持つということです。
また、誰かと食事をする場合でも、しゃべり過ぎず静かに食事を楽しむ雰囲気を大事にしてみましょう。
空のエネルギーを整える方法:運動
空の元素を調整する上で“ヨガ”はとても有効な方法で、特に身体の中の空を整えることに繋がります。
●空が過剰なときのエクササイズ
空のエネルギーが過剰になっているときには、前屈、後屈、側屈、ねじり、逆転、バランスとバランスよくポーズを行うのがおすすめです。
様々な動きを取り入れたヨガを行うことで、他の地・水・火・風のエネルギーが活性化し、その結果、自然と空のバランスも整っていきます。
●空が不足しているときのエクササイズ
空のエネルギーが不足しているときには、身体を開くポーズを行うのがおすすめです。
「胸を開くポーズ」「のどを開くポーズ」を取り入れると同時に、他のポーズにおいても関節や骨と骨の間の隙間を意識して動くことで、空のバランスが自然と整っていきます。
空のエネルギーを整える方法:マインドケア
微細な空のエネルギーをバランスする上で、マインドケアは最も大切です。
中でも“瞑想”は、空が過剰なときも不足しているときも、それらを調整するのに役立ちます。
●空が過剰なときのマインドケア
空のエネルギーが過剰なときは、増えすぎた心の隙間を埋めるということが大切となります。
瞑想する際にも、今見えているもの、聴こえている音、感じてる味、空気に触れている感触、捉えている匂い、そして感じていることを、一つ一つ繊細にキャッチするという方法を試してみましょう。
また瞑想だけでなく、人とのコミュニケーションを増やすのは過剰な空を減らすことに繋がります。
●空が不足しているときのマインドケア
空のエネルギーが不足しているときには、心に隙間を作るケアが大切となります。
瞑想する際には、呼吸に集中する方法を試してみましょう。
途中、何かに心が囚われたら、それに気づきもう一度呼吸に意識を戻していきましょう。
また瞑想だけでなく、生活の中でゆっくり話す、ゆっくり聞く、ゆっくり行動する、意識的にこれらのことを行うことで、体と心が本来の空のバランスを思い出していきます。
まとめ
今回は、アーユルヴェーダ5元素の一つ、空の元素についてその役割やバランスを整える方法などを解説しました。
●空の元素は、万物に存在の場を与えるとともに、あらゆる可能性を広げる役割を担うエネルギーです。
●空の元素は、主に鼻腔や口腔といった身体の中の空間の働きをになっており、心においては、余裕や可能性の広がりを担っています。
●空のバランスが崩れ過剰になると声が出ない、聞こえない、ぼーっとしやすいといったこと起こりやすくなり、不足すると逆に話しすぎる、聞こえすぎる、パニックになるといったことが起こりやすくなります。
●空のエネルギーが過剰なときの食事法は、自分で調理する、食べたことのないものを食べてみる、誰かと一緒に食事をするといったことがおすすめで、空が不足しているときは、ゆっくり食べる、ながら食べをやめる、一人食事タイムを作るといったことがおすすめです。
●空のエネルギーバランスが崩れているときは、ヨガがおすすめです。
中でも、過剰なときは様々な動きをバランスよく取り入れたポーズを行い、不足しているときは、 胸や喉を開き、関節や骨と骨の間を緩ませるように意識したヨガを行うことで、身体の中の空が調整されていきます。
●空のエネルギーバランスが崩れているときは、瞑想がおすすめです。
中でも、過剰なときはボディスキャニングを行う瞑想を行い、不足しているときは、呼吸に集中する瞑想を行うことで心の中の空が調整されていきます。