アーユルヴェーダ5元素の一つ“火”のエネルギーで、心身に輝きをもたらす方法
アーユルヴェーダ5元素の3つ目となる“火”は、消化と変換のエネルギーであり、食べ物をはじめ、感情や意識、記憶といった目に見えないものまで、消化・代謝して燃料にしたり、老廃物にしたりする役割を果たします。
また、心と身体に光を与えて内側から輝かせる力を持っています。
今回はこの火のエネルギーについて、その役割や、身体や心における働きなどを解説すると同時に、水のバランスを整えるための生活術などをご紹介します。
アーユルヴェーダ5元素の一つ“火”とは?
アーユルヴェーダでは、万物は5元素で構成されていると考えます。
5元素とは、地・水・火・風・空です。
元素は、言葉の通りの、自然の中にある目に見える物質であり、目には見えない働きを担うエネルギーでもあります。
その中でも火は、身体に入ってきたあらゆるものを燃焼したり、栄養や老廃物に変えたりする役割を担っています。
●火の役割
火の役割は、消化と変換です。
「火を知ったことがきっかけで文明が生まれた」と言われているほど、火は人類の進化になくてはならないものであり、火のもつ上向きの運動は、必要な栄養分を脳まで届けるとともに、キラキラとした人生を過ごすための光や情熱を与えてくれるものです。
●身体における火の働き
火の元素は、人間の身体において消化や代謝、視覚などに関係しています。
火のバランスの良い人は、消化力が高く、食べたものがきちんと栄養素や老廃物に変える働きがしっかりしています。
また、眼力が強くキラキラと輝いています。
●心における火の働き
火の元素は、人間の心において意欲や勇気をもたらします。
火のバランスが良い人は、情熱的で自信家、目標に向かってチームを引っ張る能力に長けています。
また、物事を理論的に組み立てて考えることができます。
火のバランスが崩れたときに起こること
火の元素は、増えすぎるのも、足りなすぎるのもよくありません。
しかし、どんなに生まれつき火のバランスが良い人でも、時間、季節、日々の出来事、年齢などによって
バランスを崩すことがあります。
火のバランスが崩れたときには、人の身体や心に下記のような傾向が見られます。
●火が過剰になったときの心身の変化
火が過剰になったとき、身体には、お肌などの炎症や赤み、消化器系の不調、痔、ほてり、眼精疲労といったことが起こりやすくなります。
また心の変化としては、怒りっぽくなる、他人に対してイライラする、興奮しやすくなったり急に落ち込んだりといった“激しさ”が現れます。
●火が不足しているときの心身の変化
火が不足しているとき、身体には、消化不良、身体の冷え、体重の増加、などが起こりやすくなります。
また心の変化としては、弱気になる、保守的になる、ぼーっとする時間が長くなるといったことがあります。
火のエネルギーを整える方法:食生活
火のエネルギーは、“アグニ”と呼ばれる消化のための火と大きな関係があります。
火のエネルギーはアグニそのものと言っても過言ではありません。
アグニは、毎日の食生活によってその状態が変わっくるものであり、アグニのバランスを保つためには、食材はもちろんのこと、調理方法と食べる量の調整が重要となります。
●火が過剰なときの食事
火のエネルギーが過剰になっているときは、アグニが強すぎている可能性が高いため、熱を冷ます食事が必要となります
具体的には、きゅうり・ズッキーニ・トマトといった水分の多い野菜や、桃、メロン、ぶどうといった水分果物を、できれば生で摂るのがよいでしょう。
また、乳製品やココナッツミルクなどの甘味を取り入れるのもよいです。
反対に、グリルしたものや熱すぎるもの、辛いもの、脂肪分・油分の多いもの、酸味の強いもの、塩辛いものなどは控えるのがよいでしょう。
●火が不足しているときの食事
火のエネルギーが不足しているときは、アグニが弱まっている可能性が高いため、熱を起こすような食事が必要となります。
具体的には、ジンジャーやブラックペッパー、クミンなどといったスパイス類(消化器系が順調であればホットペッパーも◯)や、鶏肉の入ったスープなどで体を温めるのも良いでしょう。
また、塩味・酸味を増やしてみるのもよいでしょう。
反対に、生の食材は避けるのがおすすめです。
火のエネルギーを整える方法:運動
火のエネルギーを整える上で、運動は競技の種類やタイミングが重要となります。
●火が過剰なときのエクササイズ
火のエネルギーが過剰なときには、体を水で冷やすことができる水泳や、マイナスイオンで心身を癒やすことができるハイキング・登山などがおすすめです。
真夏の日中など太陽の光が強いときは避けて、早朝や夕方など涼しいタイミングに行いましょう。
また、熱中しすぎない、競争しないというのも増えすぎた火を調整するためのポイントとなります。
●火が不足しているときのエクササイズ
火のエネルギーが不足しているときには、ジョギングやテニスなどといった少し運動量の多い競技を行って、身体の中から熱を起こすことがおすすめです。
身体に熱が生まれることで、アグニの火も高まっていきます。
チームでプレイするものや、目標を設定してそれに向かって動くようなスポーツも良いでしょう。
火のエネルギーを整える方法:マインドケア
火は激しさのあるエネルギーですが、一方で、上手にマインドケアを行うことができたら、火のエネルギーが持つ、テージャスという輝きを得ることができます。
●火が過剰なときのマインドケア
火のエネルギーが持つ、鋭性や精妙性という性質は、人を衝動的にさせたり、神経質にさせたりすることがあります。
これらをコントロールするために必要なのは、内観する時間です。
揺れている心と本質的な自分自身を切り離して考えるようにすることで冷静になり、本来の落ち着きを取り戻すことができます。
頭に血がのぼってしまったときや、躁鬱的な状態になったときは、静かな場所でしばらく目を閉じて、ゆっくりと深い呼吸を繰り返してみましょう。
●火が不足しているときのマインドケア
火のエネルギーが不足している時には、「視覚」を利用して熱を高めていきましょう。
具体的には、サクセスストリーや著名人の伝記などの映画を観る、カラフルな洋服を着る、芸術作品を鑑賞するといった方法があります。
また、日光浴もよいでしょう。
そういったケアを行うことで、あらゆることに意欲が湧いて、頑張ることに喜びを感じられるようになるでしょう。
火のエネルギーを整える方法:美容法
火のエネルギーがバランスしている人は、お肌の血色がよく、生き生きとしていて、何より全身から輝きを放っています。
●火が過剰なときの美容法
火のエネルギーが過剰なときは、お肌に炎症を起こしやすいので、鎮静のスキンケアを行う必要があります。
具体的には、化粧水などの水分補給をしっかり行うこと、フェイスパックなどもおすすめです。
オイルやクリームといった油分を取りすぎないというのもポイントとなります。
また、炎症を加速させるカッサなどを使ったマッサージは避けるようにしましょう。
●火が不足しているときの美容法
火のエネルギーが不足しているときは、オイルで油分を補うとともに、頭皮や耳、首、デコルテなどをマッサージして血行をよくするといったケアが必要となります。
比較的熱めのお風呂(温泉は尚良し)にゆっくり浸かって、全身の巡りをよくするというのもおすすめです。
まとめ
今回は、アーユルヴェーダ5元素の一つ、火の元素についてその役割やバランスを整える方法などを解説しました。
●火の元素は、消化や変換といった役割をもっています。
人間の身体においては、食べ物を消化・代謝する働きを担っており、心においては、情熱や勇気、リーダーシップを高めるエネルギーを発揮します。
●火の元素が過剰になると、消化器系が不調になったり、身体に熱が溜まってイライラしやすくなったりします。
●火の元素が足りなくなると、体が冷えたり、ぼーっとしたり意欲が低下したりします。
●火の元素がアグニの火(消化の火)と深い関係があります。
●火の元素が過剰になったときは、冷たいものや水分の多いものを食べるのがおすすめで、火の元素が足りなくなったときは、スパイスをとりいれたり、塩味・酸味・甘味のある食事を取り入れるのがおすすめです。
●火の元素が過剰になったときは、水泳や登山といった運動がおすすめで、不足しているときは、運動量の多い有酸素運動を行ったり、適度な日光浴を行うのがおすすめです。
●火の元素が過剰になったときは、心を鎮静させる瞑想を行うのがおすすめで、不足しているときは、視覚的に刺激を与えるようなマインドケアがおすすめです。
●火の元素が過剰になったときの美容法は、化粧水などを使った炎症ケアを中心に行うのがおすすめで、火の元素が不足しているときは、オイルやクリームを使った保湿ケアを中心に行うのがおすすめです。